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持たざる者の希望

執筆者の写真: 雨野広雨野広

※初出2023-07-15


半端な能力を持つ者の悲哀とは、自ら運命を切り開く事は出来ないが、自分を待ち受ける未来がどんなものかは分かってしまう所である。

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まもなく小品を一つ出すんだけども、先立って所見を書いておく。置き論破。

1年ほど考えた事をまとめる。

これは「分析」であって、別に誰かを攻撃したいわけではない。

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・その1「ゲームチェンジ」

世間が大きく変わって、自分が想定してきたルールが通用しなくなった。

具体的には創作活動についてだけども、かつては「なにか面白い物はないか」と皆が自分から探していたわけだ。ところが現在は「見たいものがありすぎて時間がない」となっているのだ。商業作品ですら「タダでも良いから見てくれ」と言い出す状況で、アマチュアにチャンスなどあるだろうか。


映像作品、具体的には自主制作アニメを作りたいという気持ちはあるが、戦略的妥当性はもはや無い。自分の作る作品がどんなにゴージャスで巧妙だったとしても、それを正面から評価してくれる人はもういない。みんな商業作品を消化するので精一杯なのだから。


自分よりすごい作品を作っている人が、然るべき評価を受け取っていないのを見ても、この分析の信憑性は補強される。(アステロイド16とか全く過小評価されている)


評価など気にせず作品を作るのが作家である、とも言えるが、この状況でそれが出来るのは一生遊んで暮らせるような立場の人間だけだ。


総じて「自主制作アニメは持たざる者の希望たり得ない」という結論に至ったのである。

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・その2「じゃあどうすんじゃい」

じゃあどうするのか。何もかも止めるのか。

こういう時自分は「今これを止めたら(もしくは止めなかったら)死ぬ時後悔するかどうか」というシミュレーションを行う。


将来、病床で死を待つだけとなった自分が過去をどう思うか。

で、やっぱ止めたくないな、と思うのである。


でもこれまでの戦略は通用しない。よい自主制作アニメを作っても、道は拓けない。

じゃあどうすんじゃい。

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・その3「武器からの逆算」

自主制作アニメという出力形態を一旦忘れてみる。

そして、今自分が持っている武器を再確認する。


・普通の人よりはちょっとイマジネーションがある(天才というほどではない)

・CGとか映像制作、イラストやマンガも多少作れる(天才というほどではない)

・クリエイターの中でも、ダイアローグとか噺を作れる方だと思う(天才というほど略


ついでに弱点を考えると


・資金が無いので大型・豪華な作品は作れない。

・天才的な唯一性は持っていない。

・コンテンツの過当競争に晒されている。直球勝負では勝ち目がない。


このようになる。


以上を踏まえた結論として辿り着いたのは「複合的な創作物」である。

映像だけで作品を完結させるのではなく、小説、マンガ、イラストなどに加えてショート映像を展開するような形態。作品群で一つのコンテンツとなるような物である。


これが現時点での自分の結論である。

これは自分の希望というより、押し出されて押し出されて、最後に辿り着いた場所と言った方が良い。


これは映像作家を諦める事でもあって、簡単には受け入れられない物でもあった。納得するのに1年掛かったが、最近やっと飲み込んだ。

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今後の自分の活動方針としてはこれらを踏まえたものになると思う。パッと見、無節操な感じに見えるかもしれないが、一応、戦略に基づくものなんだゾっていう事をここに記しておく。


この活動の先に何があるかは全く分からない。しかし少なくとも「モノを作る自分」を生かす唯一の道だという確信はある。

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あともう一個、この1年「どうすれば皆に分かってもらえるだろうか」と延々悩んでいたが、最終的に

「お前らなんかに分かってたまるか」

というフレーズが頭に浮かんでから急に楽になったのでオススメ。

リピートアフターミー、「お前らなんかに分かってたまるかッ!!」

お後がよろしいようで。

 
 
 

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